SERNYA
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2. ジャムの地に流れる時間

ラシャムジャ 著、星泉 訳

2-2-1. 朝一番に火を起こす一家の主婦

M村の一日の始まりを告げるのは家の門にいる白い雄鶏である。雄鶏の最初の鳴き声が高らかに響きわたるとき、集落の周辺の山も川も闇という分厚い布団の中で眠りこけている。M村の人々は、雄鶏の最初の鳴き声が響くことを、一番鶏が鳴いたという。それからお茶を一杯飲むほどの時間が経つと、再び雄鶏が鳴き声を上げる。これを二番鶏が鳴くという。その頃になると東の山の端から曙光がさしてきて、夜明け前の漆黒の闇が徐々に薄らいでいき、空の月や星もお茶に浮かべたバターが溶けていくように(見えなくなり)、村の様子がありありと見えてくる。それからまたお茶を一杯飲むほどの時間が過ぎると、再び雄鶏が鳴き声を上げる。これを三番鶏が鳴くという。この頃になると山の端から黄金色の朝日が差し、明るくなり、村を囲む山々や家々もみな目を覚ますときだ。この頃になるとM村の各世帯の煙突から青白い煙が立ちのぼるのが見える。

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