木工はヒャンゾと言い、M村の建物を普請する親方を指す。その下に手伝いをする弟子ヒャントゥクがいる。村人たちの住まいから家畜用の畜舎に至るまで、建物の普請は何でも担当する他、日用品である戸棚や作り付けの棚、衣装箱、麦粉櫃、肉入れ、テーブル、椅子、家屋の内外の扉や窓などを製作する。これらはM村の周囲に生えている木を主な木材として作られる。使用する木材については、各世帯が前もって木を伐り、小さく切っておく。樹皮も落とし、乾かし、鉋をかけておくなど、準備を整えておかなければならない。建築作業の開始に当たっては、親方と弟子が家にやってきて作業を行う。その間の親方と弟子の食事は全て、招いた世帯が提供する。職人に支払う工賃は仕事量や仕事の重さに応じて支払う。これらは鍛冶や縫製の仕事を依頼した場合も同様である。工賃をいくら支払えばよいかは、村の中で決まった水準があり、それを超える工賃は受け取りもしないし支払いもしない。
以上述べたことをまとめるとM村の中心にあるのは生存である。そして生存の基盤にあるのは労働である。労働とは、結局のところ時間という間断のない流れをいかにうまく分け、それを利用し、采配するかであった。村の人々の仕事をつぶさに見ていけば、どのような仕事であれ、農耕や牧畜と無関係なものは何一つない。一見無関係に見えるものも、みな農牧から派生したものであることがわかる。一般に農牧の仕事は、仕事の手順と仕事の成果のいずれの点でも、農耕民と牧畜民は相互にかかわりあっており、互いに助け合っている。こうした仕事のあり方は、農牧境界域であるジャムの特徴でもあるのだ。