SERNYA
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2. ジャムの地に流れる時間

ラシャムジャ 著、星泉 訳
2-1-5-2. 縫製

縫製職人、仕立屋のことをM村ではゾワという。仕立て屋は村ではなくてはならない存在だ。仕立屋は村人たちのための着物作りを一手に引き受けている。着物はいくつも種類があり、綿衣、毛織衣、絹衣、成羊皮でつくる厚手の皮衣ツォッコワ、仔羊皮でつくる薄手の皮衣ツァルなどがある。家族一人ひとりのためにこうした着物をあつらえなくてはならないM村のある一家の主にとって、仕立て屋は着物の仕立てや装飾品、狐皮の帽子や靴など、頭から足まで全ての装束を縫製してくれるありがたい存在なのだ。仕立屋は極めて多忙なので、早めに予約をしなくてはならない。実際の仕事の進め方はこのようである。依頼者は仕立屋を家に招き、なるべくよい食事を提供してもてなす。一家の主人は前もって用意しておいた、毛織物の反物、車輪模様の絹織物の反物、なめした成羊皮や仔羊皮、毛並みの美しい狐の毛皮などを仕立屋に渡す。依頼者はミシンや糸、アイロンなど必要な物を準備しておかなくてはならない。そこへ仕立て屋がやってきて、毎日のようにたくさんの着物を仕立ててくれる。その期間は一家みんなで着物が仕立て上がるのを心待ちにするのだ。

仔羊皮の帽子とフェルト帽
仔羊皮の帽子とフェルト帽
山高帽
山高帽
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