SERNYA
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1. 穏やかな土地

ラシャムジャ 著、星泉 訳

われわれがM村について理解しようとするならば、村人たちが暮らす空間すべてと、その重層性を十分に認識する必要がある。一般に世のどのような学問的伝統においても、最終的なゴールは理論を明らかにすることである。そうであるならば、われわれがこの本において提示しようと思っているジャムのあり方も、様々な学術的な観点からそれらしく説明できるだろう。しかし、私は読みやすさを優先させたいと考え、学術的理論的枠組の中で水の流れに水を注ぐような努力をするのではなく、自分らしい方法を貫こうと思う。とはいえ、学術的な研究によって承認されてきた理論と私自身の思考の産物も互いに否定したり矛盾するようなものにはなり得ない。例えば、文化生態学者や生態人類学者も、本書の対象であるジャムの文化はジャムの土地の生態環境の需要に合わせて生まれたものだという点においては、ほぼ合致する理論を述べるだろう。彼らがM村を研究対象として選んだ場合、まずは生活空間に多大な関心を向けるだろう。彼らの考え方によれば、人類社会と文化は、環境決定論的に形成されたものだという。こうした学問的な見方は、まさに私自身の考えであり、私はこうした見方をわざわざ学んで身につけたわけではないけれども、一致した考え方をもっている。そういうわけで、われわれはまずM村の最も外周に位置する大きな環境について論じるところから始め、徐々に小さな方に目を向けていき、各世帯の各部屋に至るまで一通り見ていくこととしよう。こうして生活空間について知れば、M村のジャムの文化の精髄を理解するのに益するところがあるに違いない。

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