SERNYA
menu
close

2. ジャムの地に流れる時間

ラシャムジャ 著、海老原志穂 訳

2-3-1. 春は新芽のいぶき

新年(ロサル)が終わると、M村の人々は農業と牧畜業の両方の一年の労働をはじめる。それを「仕事始め」という。仕事始めの頃には、長い冬の間に寒さで凍結されていた大地は次第に温まり、山の頂の日陰で凍っていた雪も徐々に溶け出す。風が吹いた時に顔の皮膚に針が刺ささったような痛さがなくなり、風の暖かさが少しずつ増してくる。春の輝きが近づくにつれ、風は大きくなる。大風はごうごうと吹き、最も乾燥している環境に土埃が舞い広がる。その時、川岸の氷塊も徐々に溶け出し、青い河の流れは氷の罠から逃れてさらさらと流れる。よく注意していると、畑の真ん中の日向の土地では緑色の芽ががではじめており、柳の枝にも葉芽がつきはじめる。M村の人々はロサルの楽しさから(日常に)戻り、分厚い冬服から薄い着物に着替える。袖を腕まくりして、種まきと、家畜に年を越させるための仕事をはじめる。

north