SERNYA
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2. ジャムの地に流れる時間

ラシャムジャ 著、星泉 訳
2-2-3-3. 日が沈むと帰宅する祖父母

午後になると、アムニとアイは杖を頼りに大通りの四つ辻まで出かける。そこには日の沈む西向きなっている塀際に、同じ放牧集団の年寄りたちが集まっており、六字真言を口ずさんだり、手回しのマニ車を回したりする合間に、さまざまなおしゃべりに興じる。黄昏の穏やかな光に当たっているお年寄りたちはみなM村の宝である。お年寄りたちがいるからこそ、村に歴史ができたのであって、彼らが須弥山のようにどっしりと構えているからこそ、M村の風紀が乱れずに引き締まっているのだ。彼らが笑い皺を動かしていると、黄昏の穏やかな光が射しこんでくる。お年寄りたちの慈愛のこもったまなざしの先には、四つ辻でにぎやかに遊ぶ子供たちがいる。山を降りてくる羊の群れの鳴き声が響きわたっている。

日が暮れると、四つ辻のお年寄りたちは着物についた埃をはたき落としながら家に帰依って行く。老夫婦は日中日にかけて溶けたバターを小さなポットに注ぐと、日中に作った灯明芯を灯明台に差し、そこに溶かしバターを注ぎ、灯明を捧げ、線香をくゆらせる。それから、厚い暗闇が村を囲む山々も家々もすべて覆い尽くす頃になると、アムニとアイはかまどの煙で温かくなっている高床に腰を下ろし、家族とともに夕食を楽しむのだ。

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