年寄りはすでに隠居して、家の仕事はしないものだが、たまに六字真言を唱えるのも中断し、数珠を繰る手を止めなければならないことがある。秋のように忙しい季節になると、年寄りもできる範囲で手伝いに駆り出される。たいていは内仕事と外仕事の中の細々とした仕事を手伝う。普段の生活の中でも、仏間で仏前にお供え物をしたり、閼伽水を備えたり、また灯明を灯したり、線香を焚いたり、五体投地をしたり、灯明台をきれいにしたり、灯明台に溶かしバターを注いだりといった仕事は年寄りが責任を持って担当するものだ。また、若い人たちが仕事に出かけてしまったあとの留守番をしたり、幼い孫たちの世話をすることもある。
M村の壮年世代の仕事は、すでに述べた通り、男の仕事と女の仕事、外仕事と内仕事、私的な仕事と公共の仕事などがあるが、そうした仕事を進める中で重要な点は、大人たちの指示のもと、子供たちに仕事を手伝わせることである。子供たちの仕事とは、大人の手の苦労や足の苦労、耳の苦労、口の苦労を代わりに引き受けることである。これらを引き受けることによって、子供は働くという意識や責任感を引き継いでいるのである。さらに重要なのは、仕事のやり方を実践的に学ぶことができるという点である。働くことを好み、働くことに習熟することは生存の基盤であるので、M村の人々は子供の頃から働くことに並々ならぬ関心を持つように、大人たちは子供たちと一緒に歩いたり、話をしたり、仕事をしたりしながら、実践を通じて生活の経験や仕事の技術などを教えてきたのである。