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海老原志穂さんがセルニャの創刊時からこつこつと翻訳を続けてきたチベットの女性詩人たちの詩がこのたび一冊の本になりました。セルニャで紹介されたゾンシュクキさん、デキ・ドルマさん、カワ・ラモさん以外に、ベテラン詩人のホワモさん、チメさんをはじめ、トクセー・ラモさんやオジュクキさんといった若い詩人の詩も翻訳紹介されています。すべてチベット語詩からの翻訳です。様々な年代の詩人たちのこまやかな観察眼から編み出される柔らかで力強く活力に満ちたことばの数々をぜひ味わってください。
これまで日本で刊行されたチベット文学作品の書き手はすべて男性でしたので、この詩集は女性たちの文芸創作について知ることができる待望の一冊といえるでしょう。本書には海老原さんと三浦順子さんによるエッセイも含まれており、「フェミニズム運動は詩からはじまった」「チベット仏教界と女性」など7篇を通じて、チベットの女性たちの置かれた状況を多角的に知ることができます。
装幀画、挿画は蔵西さん、ブックデザインは草本舎さん。セルニャを愛読してくださっているみなさんにはおなじみの方々が心をこめてつくった本です。段々社の「現代アジアの女性作家秀作シリ-ズ」の最新作のこの詩集をどうぞ手にとってみてください。