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2022年3月30日に福岡の出版社、書肆侃侃房よりラシャムジャの短編集『路上の陽光』が刊行されました。比喩を多用して登場人物の心情を表現していく確かな表現力は、長編小説『雪を待つ』でもいかんなく発揮されていましたが、短編小説ではまた格別な余韻となって伝わってきます。
研究者でもあるラシャムジャさんは2018年10月から2019年3月まで、訳者の所属先である東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で研究滞在をしていました。作家というのは不思議なもので、ふとした瞬間に物語の構想が生まれると、そこから一気に集中して執筆に入るということが本学滞在中に二度起こりました。本書に収録された「最後の羊飼い」と「遥かなるサクラジマ」です。他の作品もチベットの悩める若者の心に寄り添った、切なくて胸がきゅんとなる物語ばかりです。ぜひ本書を手にとってチベットを旅していただければ幸いです。